DESIGN NOTES

高級感のあるデザインに共通する、
余白の設計

2026.09.24

「余白を大きく取ると、高級感が出る」。ハイブランドのサイトやパッケージを例に、こう説明されることがよくあります。感覚的には納得しやすい話ですが、これを実際に検証した調査は存在するのでしょうか。

1,193人を対象にした、パッケージデザインの調査

2025年、学術誌『Journal of Sensory Studies』に、チョコレートのパッケージデザインを題材にした研究が発表されました。1,193人の参加者を対象に、余白の大きさ・書体・質感を変えたパッケージを見比べてもらったところ、余白を大きく取ったパッケージほど、高級感が高く評価される傾向が確認されています。書体についても、上質さを感じさせる書体が、品質の評価を高める要因になっていました。感覚的に語られてきた話が、比較的新しい調査で裏づけられた形です。

なぜ余白が「高級」に結びつくのか

余白が高級感につながる理由として、いくつかの説明が挙げられています。1つは、情報を詰め込まない余裕が、説明しなくても伝わる自信として受け取られるという見方です。もう1つは、余白が視覚的な「希少性」の合図として働き、間接的に価格や価値の印象を引き上げる、という説明です。どちらも仮説の域を出ませんが、余白そのものに情報がなくても、周囲の余白の量が評価に影響することは、複数の研究で共通して報告されています。

余白は、何も伝えていないようで、「伝えなくていい」という自信を伝えている。

「余白を増やせば高級になる」わけではない

注意したいのは、これらの調査が示しているのは平均的な傾向であり、余白を増やせば無条件に評価が上がるという単純な話ではない点です。情報が本当に必要な場面(価格表・仕様の一覧など)で余白を優先しすぎると、かえって不親切になります。高級感を狙う場面と、情報を分かりやすく伝える場面とでは、余白の使い方の正解が異なります。

実務での考え方

制作の現場では、「余白を大きく取る」ことよりも、情報の優先順位を決めて、優先度の低いものを削ることの方が先です。結果として、画面に残る要素が減り、自然と余白が増える。この順番で考えると、単に間隔を広げただけの、スカスカな印象になるのを避けられます。

結論:余白は、引き算の結果として生まれる

余白を大きく取ると高級に見える、という感覚的な話には、実際に消費者調査による裏づけがあります。ただし、余白そのものを目的にするのではなく、情報を絞り込んだ結果として余白が生まれる、という順番を意識することが、実務では重要だと考えています。

参考文献