MARKETING NOTES

何度も見ると好きになるのか、
単純接触効果の実験を確認する

2026.09.29

「広告や投稿は、7回見てもらうと印象に残る」。マーケティングの現場で語られる「7回接触の法則」の土台になっているのが、心理学の「単純接触効果」です。実際の実験では、どこまで確かめられているのでしょうか。

意味のない図形を、繰り返し見せただけの実験

単純接触効果の出発点は、1968年、心理学者のザイアンスが学術誌に発表した一連の実験です。実在しない文字や、無意味な図形など、それ自体に意味を持たない刺激を被験者に見せ、繰り返し見た回数によって好感度がどう変わるかを調べました。結果、繰り返し見せられただけの図形ほど、好ましく評価されることが分かりました。本人がその図形を見た記憶すらない場合でも、この効果は現れています。

好感度は、右肩上がりに増え続けるわけではない

ここで注意したいのは、接触回数と好感度の関係が、単純な比例ではないという点です。最初の数回の接触が、好感度をもっとも大きく押し上げ、それ以降は効果が徐々に小さくなっていきます。さらに接触を重ねすぎると、今度は飽き(倦怠)が生じ、好感度がむしろ下がっていきます。グラフに描くと、山型(逆U字)を描くことが分かっています。

最初の数回が一番効く。あとは、飽きとの綱引き。

不安な気分のときは、効きにくい

条件によって効果が弱まることも報告されています。ある研究では、不安を感じている状態(特性不安・状態不安が高い状態)では、単純接触効果が弱まることが示されました。同じ発信を繰り返しても、見る側の心理状態によって、効き方が変わる可能性があるということです。

発信の頻度に置き換えると

「とにかく7回見せれば覚えてもらえる」という単純な理解は、この研究の一部しか見ていません。実際には、最初の数回にもっとも効果があり、その後は他の要素(内容の変化、見る側の状況)次第で、効果が頭打ちになったり、逆効果になったりします。同じ投稿や広告を機械的に繰り返すより、接触の"質"にも目を向ける方が、実態に近い理解だと考えています。

結論:回数より、最初の数回と見る側の状態

単純接触効果そのものは、繰り返し確認されてきた現象です。ただし「回数を重ねるほど良い」という単純な話ではなく、効果の大部分は最初の数回に集中し、重ねすぎれば飽きに転じます。見る側の心理状態によっても、効きやすさは変わります。

参考文献