DESIGN NOTES

「7±2」の法則はUIに使えるのか、
半世紀分の研究をたどる

2026.09.24

「メニューの項目は、7個以内にまとめましょう」。ナビゲーションの設計で、こうした助言を見かけることがあります。根拠とされる「7±2の法則」は、心理学ではよく知られた研究ですが、その後の追加研究まで踏まえて紹介されることは、あまり多くありません。

1956年、心理学で最も引用される論文の1つ

「7±2の法則」の出どころは、1956年に心理学者ジョージ・ミラーが発表した論文「マジカルナンバー・セブン」です。ミラーは、人が一時的に記憶できる情報の数は、数字そのものの個数ではなく、「意味のあるまとまり(チャンク)」の数で決まり、その上限がおおむね7個前後だと報告しました。電話番号が3〜4桁ごとに区切られているのも、この考え方と関係があります。この論文は、心理学の中でも指折りの被引用数を持つ、古典として扱われています。

2001年、「実は4個」という指摘

ただし、この数字は半世紀の間に見直されています。2001年、心理学者ネルソン・コーワンは、それまでの多くの研究を横断的に見直し、リハーサル(頭の中で繰り返し唱えること)や、既に知っている知識の助けを取り除いた場合、人が同時に保持できる情報は、7個ではなくおよそ4個程度だと結論づけました。ミラーの「7」という数字は、記憶を助ける工夫を含んだ状態での上限であり、何の支えもない状態での限界は、もっと少ない、という指摘です。

「7」は記憶の限界そのものではなく、工夫込みの上限だった。

メニューの項目数に、そのまま当てはめるのは危うい

この研究は、もともと耳で聞いた数字の列を、その場でどれだけ覚えられるかを調べたものです。画面に表示された選択肢を「選ぶ」作業とは、条件が異なります。選択肢が画面に表示されたままであれば、ユーザーは記憶する必要がなく、7個でも4個でも、探して選ぶことができます。「ナビゲーションは7項目まで」という助言は、ミラーの実験条件とはずれた場面に、数字だけを持ち込んでいる可能性があります。

実務での考え方

項目数の上限を数字で決めるより、関連する項目をグループにまとめ、階層をつけるほうが、実務では効果的です。7個であっても、脈絡なく並んでいれば選びにくく、10個であっても、意味のあるまとまりに分かれていれば選びやすくなります。数字そのものより、チャンク化という考え方の核心を活かす方が実用的です。

結論:数字より、チャンク化の考え方を借りる

「7±2」という数字を、メニューの項目数にそのまま当てはめるのは、元の研究の対象とはずれています。借りるべきは数字ではなく、「意味のあるまとまりに分ければ、扱える情報は増える」という、チャンク化の考え方そのものです。

参考文献