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「赤は購買意欲を高める」は本当か、
色彩心理の研究を検証する

2026.09.24

「赤いボタンにしたら、成約率が21%上がった」。マーケティングの記事では、こうした具体的な数字とあわせて、色の心理効果が紹介されます。この種の話は、どこまで色そのものの効果で、どこから条件の違いによるものなのでしょうか。

色とブランドの結びつきを扱った、学術研究

色とブランドイメージの関係を扱った代表的な研究に、2012年に学術誌に発表された、ラブレック氏とミルン氏による論文があります。4つの実験を通じて、色が「刺激的」「有能」といったブランドの印象にどう結びつくかを検証したもので、赤は刺激的・活発な印象、青は信頼・有能な印象と結びつきやすい、という傾向を報告しています。色が何らかの印象を左右すること自体は、学術的にも確認されています。

「赤いボタン」の成果は、色以外の要因かもしれない

一方で、「赤いボタンで成約率21%アップ」のような具体的な事例には、注意が必要です。コンバージョン最適化を専門にする調査機関CXLの分析によれば、この種のA/Bテストの多くは、赤という色そのものではなく、ページ内でそのボタンがどれだけ目立っていたか(コントラスト)が効いていた可能性を指摘しています。青系の背景に赤いボタンを置けば目立ちますが、赤い背景に赤いボタンを置いても目立ちません。「赤が効いた」という結論は、比較条件を無視した早合点であることが多いのです。

効いていたのは色の意味ではなく、目立ち方だったかもしれない。

文化によっても、受け取り方は変わる

色の効果は、文化的な背景にも左右されます。中国の消費者を対象にした研究では、赤が必ずしも購買意欲を高めるとは限らず、青の方が「奥行きがあり、ゆとりを感じさせる」ことで、購入意欲につながる場面があると報告されています。「赤は情熱・購買」という西洋発の単純な図式は、対象や文化によって当てはまらないことがあります。

実務での考え方

色の心理効果を無視する必要はありませんが、頼りすぎるのも危険です。ボタンの色を検討するときは、「何色にするか」より先に、「ページの中で、その色がどれだけ際立っているか」を確認する方が、再現性のある改善につながります。

結論:色の意味より、際立ち方を先に見る

色には、ある程度の心理的な傾向があります。ただし「赤いボタンにすれば売れる」という単純な話ではなく、周囲との対比や、文化的な背景まで含めて考える必要があります。

参考文献